「RESTART(リスタート)」


 今日は新学期の始業式でもないし、入学したての一年生なわけでもない。
 何のへんてつもない平日の一日。そして僕は最高学年の六年生。
 なのに僕の胸はいつにも増してドキドキしてる。
 こんな気持ちはいつ以来だろう。一年生の時の入学式くらいだろうか。
 不安と期待が入り混じったような、なんだか不思議な気持ち。
 あの時もこんな気持ちだったのかなあ。
 ついこの前までは、悲しくて寂しくて涙がこぼれていたのに、それももう昔の話で。
 今はその悲しさ、寂しさの大部分がドキドキに吸収されてしまったみたい。

 真新しい制服に袖を通す。
 初めて着る制服――なんだかこそばゆいような、ちょっと変な感覚がする。
 ちょっと大きすぎないかなあ?
 母さんはすぐに大きくなるんだからそれくらいでいいのよ、って言ってたけど、よく考えたらあと一年もしないうちに卒業なんだよな。
 ひょっとして弟のお下がりも計算しているのかな? なんて考えてみたりして。
 手の甲にかぶさったブレザーの袖口を眺めて、思わず笑みがこぼれてしまう。
 制服ってなんだか、ちょっぴり大人っぽく見えるよね。
 ……下が半ズボンじゃなかったらの話だけど。

 RESTART(リスタート)。仕切りなおし、または再開。
 こういうタイミング、こういう形でのリスタートっていうのも案外ありなのかもしれない。
 今更だけど新しい出逢いだって必ずあるもんね。
 気持ちはいつだって前向きに。だってその方が人生楽しいしね。
 前の町の友達とも永遠の別れなわけじゃないし、二つの学校の同窓会にでられる特権まである。
 そう考えたらなんか得した気分かも?
 ほら、前の学校の友達が背中を押してくれてる。
 今日は僕の転校初日――新しい学校で新しい生活が始まる日だ。


Written by 佐倉信輔


<あとがき>
 テーマは『転校』です。
 自分自身は経験はないのですが、どんな気持ちなんだろうな、という想像で書きました。
 こんなに前向きに考えられるやつなんて、そうそういないだろうとは思いますけどね。(笑爆)


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