「お嬢様と呼ばないで」


 私のパパは社長さん。ママは人気のファッションデザイナー。
 他の子と遊んでいる時、いつもこんな風に言われる。
『大きなお家に住めていいね』
『欲しいもの何でも買ってもらえるんでしょ。いいなあ』
『私もこんな暮らし、してみたいなあ』
『すごく幸せなんでしょうね』
 そういう時、私は少し得意気になって見せる。だって、それが建て前だから。
 でも本音は違う。悪いけど幸せとか、嬉しいとか思った事はあんまりない。
 そりゃあ、綺麗なお洋服は着れるし、おいしいお菓子や食べ物は食べられる。
 だけど、それってその場だけの幸せ。その場だけの嬉しさ。

 私のお部屋。広いお部屋に大きなベッド。
 他の子は、
『ふかふかで寝心地よさそう』
 って言うけれど、私には広い部屋も大きいベッドも落ち着かないの。
 ぽつんと一人で部屋とベッドを持て余す。そして寂しくなるの。
 こんな部屋より、こんなベッドより、狭くてもパパやママの腕の中の方がずっといい。
 だけど、パパもママもお仕事が忙しくて滅多に帰って来ない。
 一人で過ごす夜、泣きそうになりながら思うの。
 裕福でなくてもいい。いつでも傍にパパがいてママがいる普通の生活がしたいって。
 だから私は、いつもパパとママと一緒に笑ってる、あなたの方こそうらやましいのよ。
 だってそれが、私の一番欲しい物なんだもの。


Written by 佐倉信輔


<あとがき>
 お金持ちのお嬢様だって悩みはあるのよ、って感じのSSです。
 子供との時間って大切なんですよね。w
 お嬢様だって苦労は絶えないって事ですかね。(ぇ


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