「ボクとお兄ちゃん」


 口うるさくて、時々いじわるで。そんなお兄ちゃんがボクは嫌いだ。
 きっとお兄ちゃんにはボクの気持ちはわからないだろう。
 だけどそれはボクも同じ。ボクにはお兄ちゃんの気持ちは分からない。
 ボクには弟も妹もいないし、お兄ちゃんにはお兄ちゃんもお姉ちゃんもいないから。

 弟っていうのも、結構大変なんだよ。
 服はたいていお兄ちゃんのおさがりだし、お兄ちゃんの言う事はきかなきゃならないし。
 それに、大人の人はよくボクとお兄ちゃんを比べる。それってなんだかプレッシャー。
 おこづかいやお年玉だってお兄ちゃんの方が多いしね。
 実際ちょっとうらやましいよ。
 だけど多分、お兄ちゃんはお兄ちゃんで大変なんだよね。
 ママが働きにいっている間、ボクをかまってくれるのはお兄ちゃんだし、お兄ちゃんだから我慢してる事だって、きっといろいろあるんだよね。
 いろいろ無理しなきゃいけないことや、強がらなくちゃいけないこともある。
 それがお兄ちゃんって立場――なのかな?
 ボクは弟だから、そのへんのことまではよく分からないけど。

 ボクがいて、お兄ちゃんがいて。2人そろって初めてボクたちは“兄弟”になる。
 どっちが欠けても“兄弟”にはならない。
 どっちもいないと“兄弟”にはならない。
 それが“兄弟”。強いつながり。こういうの“きずな”っていうんだっけ?
 いつもボクのことを見ていてくれるお兄ちゃん。
 ボクが泣いていると『大丈夫か』って声をかけてくれるお兄ちゃん。
 ボクをかばって、代わりに叱られてくれたお兄ちゃん。
 なんだかちょっぴりヒーローみたい? 
 ホントは――ホントのホントは、そんなお兄ちゃんがボクは大好きだ。


Written by 佐倉信輔


<あとがき>
 弟と兄、兄と弟。そんな関係の複雑さを描いてみました。
 でも結局のところ理想系でしかないのですが。(爆)


目次に戻る