「消滅手帳(クリア・ノート)」
消えてしまえばいい物をこのノートに書こう。
消えてしまえばいい物。
それは蚊。
ブンブンうるさいし、咬まれたら痒い。
消えてしまえばいい物。
それは宿題。
何のためにやるのか、意味が見出せない。
消えてしまえばいい物。
それは受験。
しんどい思いをして、それで何が得られるか。
消えてしまえばいい――何もかも。
この世にあって意味のない物は全て。
消えてしまえばいい――全て。
ノートに書いた物は全て。
消えてしまえばいい物。
それは病気。
苦しまなくていい。お金もかからない。
消えてしまえばいい物。
それは犯罪。
人類皆平和。それが一番。
消えてしまえばいい物。
それは貧富。
人類皆平等。ケンカだって起きない。
消えてしまえばいい――何もかも。
人の生活を脅かす物は全て
消えてしまえばいい――全て。
ノートの上の物は全て。
消えてしまえばいい物。
それは核。
滅ぼすだけの物。そんなの必要ない。
消えてしまえばいい物。
それは戦争。
生み出さないもの。そんなのいらない。
消えてしまえばいい物。
それは国。
国なんて無ければいい。戦争も起きない。
消えてしまえばいい――何もかも。
この世のしがらみなんて全て。
消えてしまえばいい――全て。
消せば消えるこの文字のように。
このノートが本物の魔法のノートなら。
この廃れた世界を変えられるかもしれない、のに。
<あとがき>
創作小説『夢幻堂草子』に登場するアイテム・消滅手帳(クリア・ノート)を元ネタとして書いた詩です。
何でも消してしまうノート……。
あなたなら何を消しますか?