「みるくれーぷ」
“ミルクレープ”。それが私につけられたあだ名。
理由は単純、私の名前が“星野みるく”だから。
私はこの名前が嫌い。だって子供っぽいから。
みんなは『かわいいね』って言うけど、そんなのお世辞か社交辞令に決まってる。
いつものように一人の昼休み。屋上で座ってたらあいつがやってきた。
鈴木一郎―同じクラスの男の子。平凡すぎる名前だといつもこぼしているやつ。
でも、“みるく”なんて子供っぽい名前よりよっぽどましだと私は思う。
「何の用?」
「一緒に食わね?」
ぶっきらぼうな私の言葉を気にもせずなれなれしく話しかけてくる。
手渡されたのは一ピースのミルクレープ。
「ミルクレープってさ、すげえよな」
こいつの話はいつも唐突。
「一枚一枚はただの薄っぺらいクレープとクリームだろ? なのに何枚も何枚も重なる事で新しい味と食感に変わって、みんなを幸せな気分にする」
いったい何なのよ。
「俺さ、“ミルクレープ”って名前、すごくいいと思うぜ。いや、俺の名前が平凡だからじゃなくて、なんというか。ミルクレープって幸せの魔法みたいじゃん。だから俺、“ミルクレープ”も“みるく”もすごくいいと思う」
そういってそいつはさっさとどこかへ行ってしまった。全く、下手くそな告白。
でも…。
「幸せの魔法、か」
なんだか自分の名前が好きになれそうな気がした。
<あとがき>
かなり甘甘な学園ラブSSです。
みるくさんへの贈り物として書いた作品です。