8888HIT記念SS 「CHILD☆WIVE 番外編」
仕事に終われる毎日の中で、週末の連休は数少ない解放の時間である。
営業という厳しい仕事の事もその間だけは忘れている事ができる。
小うるさい上司の叱責も、取引先の課長の嫌味もこの間だけは忘れて、至福の時に浸る。
俺が特に好きなのはスポーツ番組を見る事。
俺自身の運動能力はごくごく普通なのだが、プロの選手達を見ているとそこはかとなく興奮するのだ。
もう一つの楽しみは嫁との時間だ。
結婚して七年になるが、夫婦仲は至って良好。あとは子供がいれば――というのは少々野暮な話だが。
飛び抜けて美人なわけでも才女なわけでもないが、俺はこの嫁の事を気にいっているし向こうも俺の事を気にいってくれているらしい。
趣味で開発した新作料理の毒見――、もとい味見をさせられるのは少々御免こうむりたいが(成功率が高くないので)、それ以外は自分が言うのもなんだがよくできた嫁である。俺には過ぎたくらいに――。
ただ、この嫁には一つだけ他にはない問題があって――。
と思ったら、ドーンというものすごい音がした。続けてガラガラドドド、という何かが崩壊するような音。
どうやらまた“やっちまった”らしい――。
俺が洗面所に駆けつけてみると、案の定そこに危惧した通りの情景が転がっていた。
今しがた洗濯しおえたばかりであろう衣類が盛大に散乱している。そして、その真ん中あたりが富士山よろしく盛り上がっている。
「おいおい――、大丈夫か?」
俺は山の頂上付近に向かって呼びかけてやる。
すると、山の頂上がもぞもぞと動いて中から小さな頭が顔を出した。
「あっ、たーたんおはよでしゅ」
山の中から現れた幼い少女は、大きな瞳を動かしながらそう言った。
俺はおう、と返してやる。
目の前の幼女は正真正銘嫁である。――断っておくが、俺はロリコン趣味ではないし彼女が勝手にそう思いこんでいるわけでもない。
嫁はどういうわけか、時々こうして幼い少女の姿と人格に入れ替わってしまう事があるのだ。
どう言うメカニズムなのかは分からないが、こうなるとしばらくは元に戻らない。
「とりあえず洗濯物にまみれてちゃおカゼひくぞ。さ、おいで」
「うん! たーたん、あしょぼ!」
「分かった分かった。洗濯物片付けてからな」
そんなこんなで俺はどたばたな毎日を送っている――。
<あとがき>
8888HITのキリリク小説です。
突然幼児に人格(外見も)変換してしまうという特異体質な嫁の話です。
幼児化した嫁の言ってる“たーたん”というのは“父さん”ではありません。(ぇ
裏ネタですが、主人公――つまりダンナの名前が健(たけし)なんですね。
それと、タイトルの後半“wive”というのは自分で作った造語です。
英語で“嫁”を意味する“ワイフ(wife)”と“生活”を意味する“ライブ(live)”を混ぜたものです。
本当は“ライフ(life)”と混ぜたかったんですが、それだとワイフに吸収されてしまうんですよね。^^;
<ワイフ(wife)とライフ(life)は頭の1文字が違うだけ
設定とか思いのほか使えそうなので、いずれ本編を連載する予定です☆