アオさんお誕生日プレゼントSS 「HAPPY BIRTHDAY」


 いつもと変わらない一日。
 何の変哲もない一日。
 “特別な日”のはずなのに変わりのない一日。
 今年は祝日、連休の月曜日。今年こそは――なのに。
 例年ならその日は平日で、パパは夜遅くならないと帰ってこない。
 だから、いつもは一人きりの“特別な日”。
 だけど、今年は祝日。パパのお仕事はお休み。なのに――。
 パパと二人で“特別な日”をお祝いするはずだったのに。
『お祖母ちゃんが急に具合が悪くなっちゃったらしいんだ。パパ、病院に行ってこなきゃならないからいい子でお留守番してるんだよ』
 そう言って、パパはいなくなってしまった。
 だからいつもと同じ一日。お昼ご飯はインスタントのラーメン。
 ずっとずっと楽しみにしてたのに――。
 ずっとずっと待ってたのに――。
 今年の“特別な日”はいつものように一人きり。

 悲しくって寂しくって、涙がこぼれそうになった時、突然玄関のチャイムが鳴った。
 慌てて目をこすって扉を開けると、小さな顔が一つ、二つ、三つ――。
「今日、誕生日だったよね」
「お祝いしにきたよ」
「驚かせようと思ってナイショにしてたんだ」
 手にはそれぞれカラフルな包み。そして、皆が見せる温かい笑顔。
 何も用意してないけど――、そう言ったけどみんな一斉に後ろの物を取り出した。
「そう言うと思って用意してきたんだ、かざり」
「あたし、お菓子持ってきたよ」
「みんなでかざろう」
 また涙がこぼれそうになる。
 だけどそれは、悲しいんじゃなくて、寂しいんじゃなくて、嬉しくって出た涙。
 一人きりの“特別な日”は、笑顔が一杯の“特別な日”になった。
 今までで一番の“特別な日”。
 並んだ笑顔から言葉が響く。
「ハッピーバースデイ!」
「お誕生日おめでとう!」
「おめでとう!」

 笑顔達の輪の外で電話が鳴った。
 電話は病院に出かけたパパからだった。
『お祖母ちゃん、たいした事なかったよ。お祖母ちゃんと一緒に夕方までには帰るから、もう少し待ってるんだぞ。帰ったら誕生日パーティだ。ケーキとごちそう、たくさん買って帰るからな』
 今年の“特別な日”は今までで最高の“特別な日”になったみたいだ。


Written by 佐倉信輔


<あとがき>
 日頃よりお世話になっておりますアオさんへの、お誕生日プレゼントSSです。
 本来ならイラストとかの方がよいのでしょうが、なにぶん時間も技量もないもので。^^;
 テーマの方はそのままずばり“誕生日”です。
 “特別な日”とあえてぼかして柔らかみを出してみました。


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