「秋の月 春の風」
春の野に吹く風―春風。
秋月から生まれた妖精パルナと春風から生まれた妖精プリンクル。
この世に生まれる前の花の中、二人はとても仲良しだった。
だけど外の世界に出た二人を待っていたのは、悲しい運命。
パルナは秋月の妖精、秋の間しか起きていられない。
プリンクルは春風の妖精、春の間しか起きていられない。
この世に存在している限り二人は逢えない。
どんなことをしても、どれだけ月日が経とうとも。
二人はいつも心の中で寂しく涙を抱きながら、野に山に季節を巡らせる役目を果たしていた。
全く逆の季節を司る存在に産まれた自分たちの運命を呪っていた。
かわいそうに思った神様は、二人に一つの役目を与えた。
一日だけ―たった一日だけ逆の季節に起きる事ができるように。
それは空に美しい満月の輝く夜。
曇りのない満月と吹き抜ける風が、季節の移りを告げる時。
年に二日だけ一緒になれたパルナとプリンクル。
お日様とお月様が同時に祝福をくれる特別な日。
いつしか呼ばれるようになったその日の名前。
今年もめぐるその日は―“お彼岸(ひがん)”。
<あとがき>
秋月春風さんに送ったSSです。
七夕の物語をモチーフに書いた作品です。w