小説を書く上での基本事項を学び、それらしい物が書けるようになってきたものと思います。
ですが、基本事項だけでは新に面白く読みやすい小説を書く事はできません。
そこでこの章では、さらに小説をよいものにしていくための応用テクニックを勉強していきたいと思います。
“起承転結”、読み方は“きしょうてんけつ”。
これは物語の構成の基本を表した四字熟語です。
元々は漢詩の書き方を表した物なのですが、ストーリーを組む上での基本としても用いられます。
起……物事の始め。きっかけ。
承……“起”を受けて“転”へつなぐ文章。伏線、筋道。
転……物語の大きな展開。クライマックス。ヤマ。
結……物語のラスト。シメ。オチ。
それぞれの文字の意味を大まかに説明するとこんな感じになります。
ストーリーを大きくこの四つのブロックに別れるように構成していくのが、基本の構成となります。
特に“転”の部分は、読者をアッと言わせたり予想外の展開を見せるための最も重要な部分です。
逆に言えばこの“転”の部分のつくりが物語のよしあしを決めるといっても過言ではありません。
例えば下の例1の文章を見てください。
<例1>
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あるところに一匹のウサギがいました。 ウサギは野原を歩いていました。 するといきなり足元が崩れ、ウサギは穴の中に落っこちてしまいました。 落ちた先は親友のモグラ君が用意した、ウサギのバースデイパーティの会場でした。 |
漫画などではストーリーの要所要所で回想シーンをはさんでいる物をよく目にします。
漫画やアニメの場合、絵とセリフでストーリーを展開させていくため要所で回想シーンをはさむ事でよりストーリーに含みを持たせる事ができます。
では、小説の場合はどうでしょう。
小説の場合は文字のみでストリーを展開させていきます。
情景や感情の描写・説明等全てを文字で行わなければならず、そのイメージは読み手側に依存する形になります。
そこに回想シーンを度々はさむと、どうでしょう。展開しているシーンが中断し、物語の展開がわかりづらくなってしまいます。
特に前述の“転”、つまりクライマックスにあたるシーンで回想が挟まると、せっかくのクライマックスに水をさしてしまう事もあります。
そのため、基本的に小説で回想シーンを使うことはタブーとされています。
使う場合でも物語の冒頭等、ストーリーにあまり影響を及ぼさない程度に抑えるようにした方がいいでしょう。
<例2>
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太郎は辺りを見回した。しかし森の木々が邪魔をしてよく見えない。 太郎は困ったような顔で、ジローの方を見つめてきた。 ジローはやれやれ、と首をすくめた。あいかわらず仕方のない奴だよ、お前は。 鼻をヒクつかせながらあたりの匂いを嗅ぎ回るジローを、太郎は申し訳なさそうに見つめていた。 |
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太郎は辺りを見回した。しかし森の木々が邪魔をしてよく見えない。 太郎は困ったような顔で、ジローの方を見た。 あいかわらず仕方のない奴だよ、とでも言いたげな表情でジローは首をすくめるようなしぐさをして見せた。 鼻をヒクつかせながらあたりの匂いを嗅ぎ回るジローの姿を、太郎は申し訳なさそうに見つめていた。 |
<例3>
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濃霧立ち込める黒い森の深淵へと誘われる二人。 木々は鬱葱と繁り、それを取り巻き暗緑の苔が朧に蔓延っている。 まるで無間の闇を纏う帳を廻らせたかの様に森は闇を纏い、二人を手招きしている。 闇で黒く染まった木々は、今にもその枝葉を振り伸ばして二人を懐中に捕り自らの臓腑に収めんとしている様にさえ見える。 |
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深い霧の立ち込める森の奥深くへ二人は分け入っていく。 うっそうとしげった木々の周りは、ところどころを緑色の苔が覆っている。 森はまるで、巨大な闇のカーテンを揺らして二人を手招きしているようだった。 薄暗い闇に包まれた木々は、いまにも二人に襲い掛かり自らの養分にしようとしているかのように見えた。 |
<例4>
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太郎は村長の家に行った。 太郎は家の扉をノックした。 中から村長が現れた。 太郎は家の中へ招かれた。 |
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太郎は何のようなのだろうか、と考えながら村長の家に向かった。 村長の家は村の高台にある、村中でも一番立派な屋敷だ。 太郎は村長の家の前につくと、木目がそのまま美しいデザインとなっている大きな扉をノックした。 しばらくして扉が開き、長いあごひげをたくわえた村長が顔を出した。 高齢のせいで腰は曲がっており髪の毛も寂しい限りの惨状だが、眼力にはいささかの衰えも無く相変わらずかくしゃくとしている。 太郎は村長に促され家の中へ入った。 |
<例5>
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ジローは、くるっと身体をひねって回転し、地面に着地する。と、すぐに後ろ足で地面を蹴って、ワルーに飛びかかった。 ワルーは、ひらりと身をかわした。そして、手にした金棒を、思い切り振り下ろした。 |
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ジローはくるっと身体をひねって回転し、地面に着地するとすぐに後ろ足で地面を蹴ってワルーに飛びかかった。 ワルーはひらりと身をかわした。そして、手にした金棒を思い切り振り下ろした。 |
<例6>
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太郎はしぶしぶながら森に向かう事にしました。 しかし、一人では心細かったので犬のジローをつれていくことにした。 森の入り口で太郎は足を止めました。 目の前の森を見て、太郎は思わず息をのんだ。 |
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太郎はしぶしぶながら森に向かう事にしました。 しかし、一人では心細かったので犬のジローをつれていくことにしました。 森の入り口で太郎は足を止めました。 目の前の森を見て、太郎はおもわず息をのみました。 |
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太郎はしぶしぶながら森に向かう事にした。 しかし、一人では心細かったので犬のジローをつれていくことにした。 森の入り口で太郎は足を止めた。 目の前の森を見て、太郎は思わず息をのんだ。 |
小説で主人公を表す場合に、一人称を使う方法と三人称を使う方法があります。
一人称は主点をその主人公におき、主人公が小説の内容を語っているように表記する方法、三人称は主人公を名前で表記し、書き手、または読み手を主点として表記する方法です。
また、三人称では主人公が不在のシーンでも書き表せるというメリットがあるため、世に存在する小説の大部分は三人称で表記されている場合が多いです。
よって、特に意識しない場合は三人称で書けばいいでしょう。
特に主人公を中心としてストーリーを展開させたい場合は一人称を使えばOKです。
ただし、一人称だと常にシーン中に主人公が存在していなければならないため、多少ストーリーや表現の幅が狭くなってしまうので注意してください。
まずは三人称のストーリーをいくつか書いてみて、少し書き慣れてきたら一人称のストーリーにチャレンジしてみるといいでしょう。
前章の基本編と、この章の応用編で上手に小説を書くためのコツはだいたい理解できたと思います。
しかし、いくらよい文章が書けたとしてもそれを読んでもらえなければ意味がありません。
というわけで次の章では、これらのテクニックを駆使して書いた文章をより多くの人に読んでもらうためのテクニックを解説していきたいと思います。